子どもの泌尿器科

子どもの泌尿器科疾患

子どもの泌尿器や排尿にトラブルがある場合、腎臓に深刻なダメージを及ぼす可能性もありますので、気になることがあった場合には受診してしっかり診断を受けることが重要です。そして、男の子には精巣捻転や嵌頓包茎など早急な対処が必要な泌尿器症状が起こる可能性もあります。問題がある場合にはできるだけ早く受診するようにしてください。

停留精巣

陰嚢には左右に1つずつの精巣(睾丸)が入っていますが、停留精巣は陰嚢に触れても精巣の存在を確認できません。2つとも確認できない場合と、片方だけ確認できない場合があります。男の子は胎児の時期、おなかに精巣があります。誕生が近くなると精巣が陰嚢内に降りてきますが、停留精巣は精巣がおなかの中にとどまったままの状態です。早産の場合は特に多いのですが、予定日に生まれた場合でも100人に3人という高い頻度で停留精巣が生じます。精巣は熱に弱いため、停留精巣を放置してしまうと将来の男性不妊につながる可能性があります。生後半年までは自然に降りてくる可能性がありますが、それ以降に降りてこない場合には治療が必要です。
ただし、乳幼児は入浴時だけ精巣が降りてくるケースや、刺激で精巣が上に上がりやすい遊走精巣(移動性精巣)もあります。気になる場合には早めにご相談してください。

亀頭包皮炎

亀頭や包皮に細菌が感染して炎症を起こしている状態です。男の子にはよくある泌尿器疾患で、亀頭や包皮の赤みや腫れ、かゆみ、膿、排尿痛などを起こします。男の子は乳幼児期にはみんな包茎で、亀頭と包皮が癒着しているため老廃物などがたまりやすく、感染を起こしやすくなっています。亀頭包皮炎は小学校入学前の時期に発症することが多く、成長に従って発症頻度が減少し、免疫力が高くなる中学生くらいになるとほとんど発症しなくなります。
治療では膿をきれいに取り除いて抗菌軟膏を塗布しますが、炎症が強い場合には抗菌薬の内服を行うこともあります。包皮を手で剥けるようになっている場合は、入浴時に中まできれいに洗うようにしてください。また、汚れた手で触らないように注意してあげてください。

包茎

亀頭部分が包皮に覆われている状態で、生まれたばかりの男の子は全員が包茎です。成長によって自然に包皮が剥けるようになりますが、成長してからも包皮を下げて亀頭を露出できない場合は真性包茎、手で包皮を下げて亀頭を露出できる場合は仮性包茎です。
子どもの包茎は特に問題がない場合も多いのですが、排尿に支障を生じている場合や、亀頭包皮炎を繰り返す場合には治療が必要になります。軟膏などによる保存的療法が主に行われますが、手術が必要になるケースもあります。なお、成人後の仮性包茎は特に問題がないケースがほとんどを占めます。

治療が必要な包茎とは

排尿に問題が生じているケース

排尿する際に包皮内へ尿がたまってふくらんでしまう場合、膀胱や腎臓の疾患につながる可能性がある場合には包茎の治療が必要です。

亀頭包皮炎を繰り返す

亀頭包皮炎は、ベニスの先や包皮に細菌が感染して炎症を起こし、赤みや腫れ、かゆみ、膿、排尿痛などを起こす状態です。包茎で亀頭部分の清潔が保てないと細菌感染を繰り返し起こすことがあります。何度も繰り返し亀頭包皮炎を起こす場合には、包茎の治療が必要です。

嵌頓包茎(かんとんほうけい)

剥けた包皮が亀頭を強く締め付け、亀頭のむくみや痛みを生じます。むくむと包皮がさらに強く締め付け、手で戻せなくなります。優しく戻そうとしてもできない場合には、無理をせず、すぐに医療機関を受診してください。

おねしょ・夜尿症

子どもは成長とともに膀胱にためられる尿の量が増えていき、排尿のコントロールができるようになります。排尿コントロールができるようになる時期には個人差が大きく、おねしょの発症頻度は5歳で20~25%、6歳で15~20%、10歳で約5%、15歳で約1%とされています。小学校入学以降におねしょをするケースは、女の子よりも男の子に多い傾向があります。
夜尿症は、5歳以降で月1回以上のおねしょが3か月以上続く状態です。夜尿症はしつけの問題ではなく、ホルモン分泌や排尿筋の過活動、眠りの深さ、膀胱容量、生活リズム、ストレスなどが関わって生じています。ほとんどの場合は成長によって改善しますので、叱らない、怒らない、焦らないことが重要です。

夜尿症治療

合宿や旅行などの機会が増える小学校入学後も夜尿症が続くとコンプレックスになる可能性があることから、5歳くらいになると夜尿症の治療を希望されるケースが増えます。センサーをパンツにつけて眠るアラーム療法や抗利尿ホルモンの投与など、効果的な治療が可能になっていますのでお悩みがある場合にはご相談ください。

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